ホワイトニングの基本
実際、歯並びが良くて白い歯であれば多くの方に良い印象を持ってもらえますが、その逆の場合、いくら歯磨きや口腔ケアをして気を使っても、印象が良くなるということはないでしょう。口元の美しさというのは、それほど大切なものなのです。
最近はそのような悩みに応えるために、歯科医院ではさまざまな治療が提供されています。
そして、歯の色にコンプレックスを抱えている方が主に選択されるのが「ホワイトニング」です。
歯のホワイトニングが世界で初めておこなわれたのは1844年だと言われています。ただし、当時はまだ技術的な精度が低かったため、それほど効果がある治療法ではなかったようです。しかし、現在は使用されるホワイトニング剤や技術的な進歩によって、簡単に白い歯が手に入るようになりました。
ここではホワイトニングの種類や治療方法、メリットとデメリット、治療の流れなどについてご紹介します。
歯を白くする方法は
「漂白」と「研磨」の2種類
ホワイトニング剤を使うホワイトニングにはホームホワイトニングやオフィスホワイトニングなどがあり、好みやライフスタイルに合わせて治療方法を選ぶことができます。
こちらは歯を削ってセラミックなどの素材を貼り付けたり、被せたりする治療法ですが、健康な歯を削る必要があるため患者さまへの負担が増えることになります。
ただ、健康な歯を削ると言ってもセラミックの板を張り付けるラミネートベニアなら、歯の表面を薄く削る程度です。ラミネートベニアなら歯を白くするだけでなく、すきっ歯などの歯並びを同時に解消することもできます。
また、以前の治療跡などを白くしたいのならセラミッククラウンがおすすめです。ホワイトニングでは白くならない歯でもセラミックにすることで白さを取り戻すことができます。
ホームホワイトニングとは?
ご自身でおこなうと聞くと不安に感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、手順などは歯科医院で丁寧にご説明しますので、慣れればどなたでも簡単におこえます。時間を選ばず、好きなことをしながら歯を白くできるので、とても人気のあるホワイトニングです。
ただし、手順などを間違えると思ったような効果が得られない場合があります。
「ホームホワイトニングでは思ったように白くならない」という声を聞くことがありますが、それは正しい手順でおこなっていないことが原因だと考えられます。
いくら精度の高いホワイトニング剤を使っても正しい手順で行わなければ効果は出ませんから、歯科医院で説明する内容に沿って、しっかりとホワイトニングしましょう。
ホームホワイトニングに欠かせない物
ホームホワイトニングで使用するものは、患者さまご自身の歯型に合った専用のマウスピースと、歯を白くするホワイトニング剤です。
マウスピースは一度作れば何度も作り直す必要はなく、ホワイトニング剤はなくなれば歯科医院などで追加購入できます。
専用のマウスピースを作らずに、インターネットなどで購入した既製のマウスピースやホワイトニング剤、歯磨き粉などを使用しても、あまり効果は期待できません。
しっかりと効果を出すために、まずは歯科医院でマウスピースを作ることからはじめましょう。
過酸化尿素は歯周病などの治療でも使われるものですから安心してご使用いただけますが、ドラッグストアなどで市販されているものの中には、あまり効果が期待できないものもあります。
ホワイトニング剤は歯科医院などで販売されている適切な製品を使用することをおすすめします
自己判断でホワイトニング材を
買うときは要注意
最近はインターネットを使えば手軽にホワイトニング剤を購入できますが、効果が高いと言われるホワイトニング剤の多くは海外からの輸入品です。
確かに高い効果が得られるかもしれませんが、歯ぐきや舌につくと痛みが出たり、使いすぎると歯ぐきが痩せたりするなどの副作用が伴うことがあります。また、中には過酸化尿素ではなく強い酸性のホワイトニング剤が使われていることもあり、実際に歯が溶けてしまったという事例も報告されています。このようなトラブルを避けるためにも、ホワイトニング剤は必ず歯科医院などで購入するようにしましょう。
専用のマウスピースを作るには
ホームホワイトニングをはじめるには専用のマウスピースを作る必要がありますが、その前に歯科医院で検診を受け、ホームホワイトニングをしても大丈夫かチェックする必要があります。
虫歯があったり、歯に多くの歯石が付着していたりすると、ホワイトニングの効果が思ったように得られないからです。
そのため、虫歯があるならまずはその治療をおこない、汚れや歯石が多い場合はクリーニングをして歯をきれいにします。
検診で特に問題がないようなら型取りをしてマウスピースを作ります。
通常、マウスピースは3~4日ほどで完成しますから、その後、マウスピースに歯を合わせて違和感がないかなどをチェックします。
修正する必要がないようなら、ホワイトニング剤と共に自宅に持ち帰ってホームホワイトニングをスタートします。
ホームホワイトニングの
守るべき使用方法
ホームホワイトニングは自宅で手軽にできるホワイトニングですが自己管理が必要なため、間違った手順や使い方をすると効果が出ないだけでなく、知覚過敏などのトラブルのもとになります。
歯科医院で説明された内容はしっかり守りましょう。
通常、ホームホワイトニングは以下のような手順で行います。
事前準備の注意点
- 汚れを残さないようしっかり歯磨きをする
- 米粒ほどのホワイトニング剤2~3滴をマウスピースの内側と白くしたい歯に注入する
- マウスピースを歯に装着する
マウスピース装着時中の注意点
マウスピースを装着している間は、以下の事項に注意しましょう。
- 装着時間の厳守(1日2時間以内が目安)
- 装着中は眠らない
- 飲食喫煙は厳禁
- 運動も禁止(ウォーキングなどの軽めの運動も含む)
ホワイトニング剤が歯に均一に広がらず量が足りないときは、一度マウスピースを取り外してホワイトニング剤を追加します。逆にホワイトニング剤をつけすぎてマウスピースからはみ出したときは、歯ぐきなどに残らないように必ず拭き取りましょう。
ホワイトニングをした後は
ホワイトニングが終わったらマウスピースを外し、口をすすいで歯磨きをします。マウスピースはホワイトニング剤が残らないようによく洗ってからタオルなどで水分を取り、ケースにしまいます。使い終わった注入器もよく洗ってから家庭用の廃プラスチックとして捨てましょう。使用していないホワイトニング剤は冷蔵庫で保存します。
ホワイトニング直後1時間くらいは飲食NGです。
また、ホワイトニング後24時間以内はコーヒーやカレーなどの色の濃い飲食物、コーラやサイダーなどの炭酸飲料も控えます。当然、喫煙も厳禁です。
ホームホワイトニングで効果を出すには
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継続する
1日2時間程度のホワイトニングを2週間は続けましょう。
ホームホワイトニングを始めた当初は中々効果が出ず、すぐにやめてしまう方もいらっしゃいますが、歯の質は人によって違うため、効果が出るスピードも人それぞれです。
また、同じ歯でも効果が出やすい部位とそうでない部位があるため、数日でやめてしまうと正しい効果が得られません。 -
後戻りさせない
せっかくホワイトニングをしてもすぐに着色してしまっては意味がありません。
通常、半年から1年で後戻りはしますが、色の濃い飲食物を避けたり、研磨剤の入った歯磨き粉を使用したりしないなど、日ごろの生活を見直せば後戻りする時期を遅らせることができます。
また、半年~1年に1度ぐらいのペースであらためてホワイトニングをすることで白さを維持できます。 -
歯磨きをしっかりする
歯磨きは虫歯などの予防のほかに、着色を防ぐ効果も期待できます。
毎日丁寧にしっかり歯を磨くことを心がけましょう。
万が一、ホームホワイトニングをしていて違和感があったり、トラブルがあったりした場合はすぐに歯科医院へ行きましょう。
ホワイトニングには個人差があるので知覚過敏になったり、効果が得られなかったりする場合もあります。
どのような場合もご自身で判断せず、必ず歯科医師に相談することをおすすめします。
ホームホワイトニングの
メリットとデメリット
自宅で手軽にできるホワイトニングとして開発されたホームホワイトニングですが、もちろんメリットとデメリットがあります。
ここでは、ホームホワイトニングのメリットとデメリットについてご紹介します。
ホームホワイトニングのメリット
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自宅で自分のペースできる
マウスピースに薬剤を塗布して装着するだけなので、テレビを見ながら、お風呂に入りながら、など自分のライフスタイルに合わせて好きな時間にホワイトニングができます。
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歯の負担が少ない
歯を削ることなく白くできるため、歯にやさしいホワイトニング法だと言えます。
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ホワイトニング後の色の後戻りが少ない。
ホームホワイトニングは一度効果が現れるとその効果が持続します。また、自分のペースで行えるので、お好みの白さになるまで微調整も可能です。
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オフィスホワイトニングより安価でできる
一度マウスピースを作れば、ホワイトニング剤を購入するだけで継続できるのでクリニックに通院するより安価でホワイトニングができます。
ホームホワイトニングのデメリット
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継続が必要
歯を削らず、徐々にホワイトニングしていくので一度では急に白くなりません。一般的に二週間程度の継続が必要です。
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ホワイトニング中と終了後の行動に制限がある
専用のマウスピースを2時間くらい着用しなければいけないので、その間の行動が制限されます。
ほかにも、ホワイトニング後の飲食物に気をつけることもデメリットだと言えるでしょう。
さらにホームホワイトニングは以下のような方がおこなうとリスクが生じる場合があります。
当てはまる方は、必ず医師にご相談ください。
無カタラーゼ症の方
無カタラーゼ症とは体内にあるカタラーゼが不足する病気です。
カタラーゼはホワイトニング剤に含まれる過酸化尿素を分解する酵素ですが、カタラーゼが不足している方が万が一ホワイトニング剤を飲んでしまった場合、体内で分解できません。
そのため、無カタラーゼ症の方がホームホワイトニングをおこなうのは、リスクが大きいと言えるでしょう。
妊娠中や授乳中の女性と子ども
体内のホルモンバランスが乱れている妊娠中は、ホワイトニング剤の影響で体調不良になる可能性があります。
また、授乳中は乳児への影響があるため控えましょう。同様に、お子さまへの使用も控えるほうが良いでしょう。
ポリオレフィンに対して
アレルギーがある方。
マウスピースを装着することでアレルギー反応が出る可能性があります。
虫歯や重度の歯周病の方
どちらもホワイトニング剤によって悪化する可能性があるため、先に治療を済ませましょう。
神経のない歯、銀歯などの義歯
神経を抜いた歯や入れ歯、差し歯、銀歯などには効果がありません。
比較−オフィスホワイトニングとは?
また、ホームホワイトニングの場合は手順を間違えたり、正しくおこなっていなかったりすると、あまり効果が得られないことがありますが、歯科医院でおこなうオフィスホワイトニングなら、そのようなことはありません。
比較−オフィスホワイトニングの
治療の流れ
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初診検診とカウンセリング
お口の状態を確認し、ホワイトニングができるかどうかか診察します。
虫歯や重度の歯周病がある場合は、先ずこちらの治療を優先します。 -
歯のクリーニング
歯に汚れがあると、ホワイトニングの効果が落ちるので先ずクリーニングを行います。
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白くしたい歯にホワイトニング剤を塗布
歯茎や唇を保護した上で、ホワイトニングジェルを塗布します。
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専用ライトで光をあてる
特別なサングラスを付けるなど、目を保護しながら光照射を行います。
終了後、ホワイトニングジェルを洗い落とします。 -
再び、ホワイトニング剤の塗布と光照射を行う
治療プランによって異なりますが、これを2~3回繰り返します。
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完了・メンテナンス
歯の色を確認し、完了です。
比較−オフィスホワイトニングの
メリットとデメリット
ホームホワイトニングとは違った特長のあるオフィスホワイトニングですが、
ここではオフィスホワイトニングのメリットとデメリットについてご紹介しましょう。
オフィスホワイトニングのメリット
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プロが行うので安心感がある
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短期間で効果が出る
もちろん、ホームホワイトニングでもこれまで国から認可されたホワイトニング剤を使ってトラブルが起きたという事例はありませんが、ホームホワイトニングは患者さまご自身でおこなうので手順どおりにやらないと効果を実感できないことがあります。
その点、オフィスホワイトニングは歯科医師がおこなうので間違いありませんし、歯科医院でおこなうほうがより安心感があるのは間違いないでしょう。
歯質や変色の度合いによって違いはありますが、通常は2回の治療で白さを実感していただけます。
オフィスホワイトニングはホームホワイトニングと違い、ホワイトング剤を塗ったあとにホワイトニング専用のライトを照射して、歯に付着した色素を分解する力を強めるからです。
オフィスホワイトニングは効果が出るのが早いので、結婚式や就職活動など、今すぐ歯を白くしたい方に向いているホワイトニング法と言えるでしょう。
オフィスホワイトニングのデメリット
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白さが長続きしない
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通院の手間と費用が掛かる
つまり、いつまでも白い歯を維持しようと思うと、2~3か月に一度は歯科医院に通ってホワイトニングをする必要があるわけです。
手間も費用も掛かることが、オフィスホワイトニングの大きなデメリットだと言えるでしょう。
ホワイトニングを長持ちさせる食事
ホワイトニングでは治療後の食事内容にも気をつけなければいけません。なぜなら、ホワイトニングでは汚れとともに歯の皮膜(ペリクル)を除去して歯を白くするため、治療後、しばらくはエナメル質が剥き出しになっているからです。
エナメル質が剥き出しになっていると、食事や飲み物の内容によっては歯が着色してしまいます。ペリクルの再生には、ホワイトニングをしてから12~48時間かかるため、最低でも24時間程度は食べ物や飲み物には気を使う必要があります。
着色しやすい食事とは?
では、具体的にどのような食事に気をつければいいのでしょうか。
色が濃い調味料
一般的には唾液に色が付くほど色が濃い調味料は避けるべきです。
たとえば醤油や味噌、ソース、焼き肉のたれなどが色の濃い調味料の代表的なものだと言えるでしょう。
ほかにも、塩やハーブスパイスにも要注意です。
ポリフェノールを含む食品
ポリフェノールと言えば赤ワインをイメージされる方が多いと思いますが、まさに赤ワインは歯を着色する代表的なものです。
健康に良いとされる飲み物ですが、ホワイトニング後、すぐに飲むのは控えましょう。
ほかにもチョコレートやカカオ、ブドウ、イチゴ、ブルーベリーなどにもポリフェノールが含まれています。
タンニンやカテキンを含む食品
湯呑を使いすぎると茶渋が付きますが、茶渋のもとになるのがタンニンです。いわゆる「渋」といわれる成分ですが、タンニンもポリフェノールの一種です。
タンニンやカテキンを含んだコーヒー、ウーロン茶、紅茶、緑茶、ほうじ茶などは控えましょう。
イソフラボンを含む食品
イソフラボンは健康に良いとされる成分ですが、これもポリフェノールの一種です。
豆腐や納豆、豆乳などは着色が少ないのでポリフェノールが含まれていないように思われますが、食べ過ぎると歯が黄ばんだり、色素沈着を起こしたりする原因になります。
酸性の食品
ビタミンCを含んだ栄養ドリンクや炭酸飲料、酢や柑橘系の素材を使ったドレッシングなど、刺激が強すぎる酸性の食品にも要注意です。
ほかにもカレーやケチャップ、マスタード、わさび、からし、トマト、レモンなどは避けましょう。
ホワイトニング後に着色しやすい食事を摂ってしまったら
着色汚れ除去効果がある歯磨き粉や、ホワイトニング用の歯磨き粉が市販されているので、それらを使うのが効果的です。
また、どうしても食べたくなったら、コップ一杯の水を飲んでから食べるといいでしょう。
口の中が乾いているほうが着色しやすいので、食べる前に口の中を湿らすことで多少は着色するのを抑えられます。
飲み物はストローを使用するといいでしょう。
ホワイトニングをしてからしばらく経過すると、気が緩んで着色しやすい食事を摂ってしまうものです。
気をつけるのはホワイトニング後24時間程度とはいえ、一度でもホワイトニングをした歯はほかの歯よりも着色しやすくなっています。
そのため、歯科医院で定期的にクリーニングを受けることも大切です。
ホワイトニングを長持ちさせる食事とは
パンやパスタ、ラーメン、白米などは食べても大丈夫ですが、たとえば朝食でパンを食べるならジャムではなく、バターかマーガリンがおすすめです。
パスタなら酸味の強いトマトソース系ではなく、白いホワイトクリームソース系やソースを使わないペペロンチーノにしましょう。
ラーメンなら色が濃い味噌ラーメンよりも塩ラーメンです。
飲み物はワインを飲むなら白ワインを選び、他のアルコールなら日本酒や焼酎がおすすめです。
喉が渇いたときはコーヒー、ウーロン茶、紅茶は避け、最も着色しない水を飲むようにしましょう。